- 2008.04.23
- 全日本女子選抜ソフトテニス大会
今年の大会も、
ダブルス優勝は、佐々木舞・堀越敦子ペア(NTT西日本広島)
佐々木選手は初優勝 堀越選手は3年ぶり3度目の優勝
『今年の大会も・・・・』となるのは、
NTT西日本広島チームが、安定した成績をつづけているから。
今回は、ナショナルチームの監督でもある中本監督にお話を伺いました。
何回かに分けて、掲載していきます。
写真は、今回の記者発表 東芝姫路の杉本瞳選手と
今回、お話を伺うきっかけになったのが、この記者発表でした。
どのような大会になるのか・・・・・
まるで分かっていたような結果に終わったので、是非、コメントをいただこうと思いました。
非常に参考になる、素晴らしいコメントいただきました。
数回に分けて掲載させていただきます。
Q;ケンコーニュース
どの大会でも、非常に改革的に、ゲームメイク(戦術的に)を行っていますが、どのような発想から来るのでしょうか?
中本監督
まず、新人が入ってくると、5年計画、3年計画、1年計画、3ヶ月計画、1ヶ月計画、一週間計画でチーム、選手の育成を考えています。
そして、365日練習に出て選手と顔を合わせています。
その上で、時期を考え、選手の表情を察して、その日の練習メニューが決まります。
年間を通して強化すべき技術、段階的にステップアップしていく技術、基本的技術、裏技的技術等色々あります。
その日に発表する事で、選手自身がその練習を何故この時期にするのか?
この練習の意味は何なのか?
この技術は実戦のどういう場合にあるのかが、慣れてくると自分でわかるようになります。
決して思いつきだけで、時間が経てば良いだろうという練習は全くありません。
私達の時代のように、精神強化ばかりの根性練習は、疲労しか残らず、技術の向上が大幅に遅れます。
現在は、その練習の意味を理解してもらい、
さらに「言って聞かせ、やって見せて、させてみて、誉めてやらないと選手は動きません」
そのうち、私が死んでもそういう考え方での練習は未来までずーと残ると思います。
だから、メニューはつくりません。
私があらゆる方向から考え出した、今このときの練習はこれだで全て決まるのです。
実際10年前から、私がタブーを打破すべく、色々と考えながら、また実績も残しながらの時期でした。
米本が皇后賜杯獲得2年後に「テニスの王子様」というマンガが出たのです。
その頃は、ソフトテニスではなく硬式テニスの勉強にとりかかっている時期だったので、タイミングとしては丁度良かったのです。
スプリットステップ、ツイストサーブ等何でもありのような、本当にマンガの世界だったのです。
ある時、TVで松岡修三が全て現実に出来ると言っていたので「これは一番にやるしかない」という考えで、
マンガを読み、
自分の発想を10倍以上に膨らませメモし、
ラケットにおいても面が2つあったら面白い、
シャフトが伸びれば面白い、
ネットと同じ大きさのラケットがあれば相手はトップ打ちが出来ない、
靴にチタン合金のスプリングを入れて1回跳ぶと3m跳べるシューズ、
2人で肩車してより高いところからのサーブ等アイデアが湧き出てきました。
そこで生まれたのがカットサービスなのです。
10年前には誰もしてなかったカットサービスを取り入れたのです。
跳ねないサービスを開発すれば、トスで勝てば勝利間違いないという発想です。
試合ではカットサービスのほとんどが面白いように決まりました。
まだその頃は、一本目だけカットサービスで、
入らなければ、従来のセカンドサービスの緩い球でダブルフォールトをしないように・・・でした。
1年ほどしてそのやり方は、他チームに任せておこう。
そしてNTT女子は1回目、2回目もカットサービスが当然で、その後に連続プレーを磨いて一気にラリーのない戦略を作り上げたのです。
これが攻撃型並行陣の始まりだったのです。
今では他チームも1本目、2本目に関わらずカットサービスを、するようになりました。
女子のレベルアップにつながりました。
そこが狙いです。
硬式テニスでは2人とも平気で前にいるのです。
使えない事はないから、フォーメーションに至るまでとことん勉強しました。
フォーメーションとサービスは硬式テニスのほうが随分先を走っていました。
ソフトテニスボールでしかない弾まないサービス。
これが面白いのです。
今では、他チームも同じように、カットサービス、フォーメーションを平気で使って来ます。
やっと女子界のレベルをある程度まで上げることに成功したのです。
言っておきます。
日本で片足でスプリットステップができるのは、主役越前リョーマと私中本裕二しかいないのです。
結論を言えば、
後衛も前に出る、勝つための戦略を実行に移す事です。
ダブルス=シングルスとしての考え方から始まり、
練習内容も大幅に変わり、前に出るテニスでないと韓国にシングルスは絶対に勝てないと今でも言い続けているのです。
私がナショナルチームコーチ時代の6年間は、一勝もさせてくれませんでした。
今でも、国別対抗ではシングルス未勝利です。
パワーや体力、練習量が根本的に韓国とは違うのです。
ダイエットを気にする日本では勝つことは無理なのです。
結論は「戦略で破る」これしかないのです。
現在Uー21からナショナルチーム監督を任されたわけですが、U-14、U-18、U-21と一貫した指導理論で選手育成を行なっております。
すでにナショナルチームは、ほとんどが私の教え子となっています。
前に出ることに対して何ら違和感も持っていない選手に育っているのです。
今まで指導者が、
誰も、何も、また先のことも考えず、
指導(指導とは言わない)していただけなのです。
韓国女子は、自国のテニススタイルを変えようとする気配が、なかなかありません。
水上で60%完成させ、後を渡邉がついでくれ、
韓国を手玉に取る戦略、攻撃型並行陣がここに完成したのです。
昔の、あるとき、インドアでの女子の試合を見ながら、
これは全国大会決勝戦だったのですが、
後衛同士が高いロビングでお互い繋ぐだけ、
ときたま前衛がそのボールを追っかけスマッシュミスでポイントを失う。
大観衆も何ら疑わずにそれを観ている。
「これは、何かおかしい」
このような試合をしていてソフトテニスを知らない人達が、
この試合を観たとしたら、
皆帰るか、TVだったら即チャンネルチェンジのはずだ。
見ていて面白くないスポーツは、やっていても面白くない。
こんな競技がオリンピック種目になるはずがない。
でもオリンピックにするのは、夢だ、いや夢ではない、現実にするんだ。というきっかけがありました。
世の中で成功している人は、それをやる事がタブーであったり、馬鹿げたことであっても真剣に取り組み打破している。
タブーも打ち破って成功すれば教科書になる。
これが信念です。
やるなら一番先に!
失敗を怖れずどんどん前へ出て行く。
これだけです。
過去に他人が決めた規定や通達を守り、
無難に仕事をし、
変化のない日々を送り老いていくことはしたくない、
自分に出来るのは、固定観念で凝り固まった指導者や選手、閉鎖的な世界のソフトテニス界を変える事だ。
と、選手には具体的に理解してもらうために、今では、選手にNHK「プロフェッショナル」を毎週見てもらい、感じた事をメールで送って貰います。
その中で色々な分野の人達が必ず誰も手をつけていない、
やれば笑われるような事を前向きにポリシーを持って頑張って生き、
他人に大きな影響を与えている人々が目の前の画面に存在します。
最初は強制ですが、
じきに自主的に、そして「前へ」向かって走ってくれます。
その気持ちがないといつも受動的で能動的な動きが出来ません。『テニスで日本一を取る=人格が日本一』ではないのです。
両方日本一になれるよう、日々精進、日々前進、常に前を見て前へ行くのです。
攻撃型並行陣は世界を変えました。
次に何が来るのかもわかっています。
早くソフトテニス界をそこに導いていけるよう、
そして、オリンピック種目になるために頑張ります。
ソフトテニス単独ではオリンピックは無理、ならば硬式テニスの中に競技ではなく、種目として入ることのみがオリンピックへの
道なのです。
同じテニスコート、同じ種目数・・・一緒じゃないか